多汗症ってなに?
みなさん、「多汗症(たかんしょう)」って聞いたことがありますか?これは、普通よりもたくさんの汗をかいてしまう症状のことです。特に手のひらやわきの下、頭などに多くの汗が出てしまいます。とても暑い日や運動をしたときに汗をかくのは普通ですが、多汗症の人は、そんな時じゃなくても大量の汗をかいてしまいます。
交感神経と多汗症
体がどうしてたくさんの汗をかくのかというと、「交感神経(こうかんしんけい)」というものが関係しています。交感神経は、体のいろいろな動きをコントロールしています。たとえば、緊張したときに心臓がドキドキしたり、寒いときに体が震えたりするのも、この交感神経のおかげです。
しかし、交感神経がうまく働かなくなると、必要以上に汗をかいてしまうことがあります。これが多汗症です。特に手のひらやわきの下、頭に汗をかきやすくなります。
多汗症の治療法
多汗症を治す方法はいくつかあります。その一つが「ボトックス治療(ちりょう)」です。ボトックス治療は、手のひらやわきの下に特に効果的です。ボトックスとは、体の特定の部分に注射をすることで、その部分の汗の出る量を減らす薬のことです。
でも、ボトックス治療は「ワキガ」とは違う症状に使うものです。ワキガというのは、汗に独特のにおいがある状態です。これとは違って、多汗症はただ大量の汗をかく症状です。
現代の食生活と体臭
昔の日本人は、ご飯や魚を中心にした食事をしていました。でも、今の私たちは、ハンバーガーやピザなど、肉をたくさん食べるようになりました。これは「欧米化された食事」と言います。この食事の変化が、体のにおいにも影響を与えることがあります。
また、最近の世の中は「清潔志向(せいけつしこう)」といって、みんながきれいでいたいと考えるようになりました。そのため、汗のにおいに敏感な人が増え、多汗症で悩む人も増えているのです。
多汗症の他の治療法
多汗症を治すためには、ボトックス治療のほかにも、「交感神経切除手術(こうかんしんけいせつじょしゅじゅつ)」という方法があります。この手術は、交感神経を一部切り取って、汗の出る量を減らすものです。
エクリン汗腺とアポクリン汗腺
体の中には、汗を出す「汗腺(かんせん)」が二つあります。一つは「エクリン汗腺(かんせん)」で、もう一つは「アポクリン汗腺(かんせん)」です。
- エクリン汗腺: これは、体の温度を調節するために汗を出します。たとえば、暑い日や運動をしたときに、体を冷やすために汗を出します。この汗はほとんどが水分です。
- アポクリン汗腺: こちらは、体の老廃物(ろうはいぶつ)を出すための汗腺です。毛穴とつながっていて、脂肪(しぼう)や鉄分、アンモニアなどの成分を含む汗を出します。この汗が「ワキガ」のにおいの原因になります。
ボトックス治療とワキガ
ボトックス治療は、エクリン汗腺の働きを弱めることで、多汗症を治すものです。しかし、アポクリン汗腺の汗のにおいを治すことはできません。ですから、ワキガを治すためには、別の治療が必要になります。
まとめ
多汗症は、普通よりもたくさん汗をかく症状です。特に手のひらやわきの下、頭などに汗をかきやすくなります。これを治すためには、ボトックス治療や交感神経切除手術などの方法があります。また、体の中にはエクリン汗腺とアポクリン汗腺の二つの汗腺があり、ボトックス治療はエクリン汗腺に働きかけます。
みなさん、もし汗がたくさん出て困っているなら、一度お医者さんに相談してみてくださいね。